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2009年 11月 22日
ここのところいくつか、ふしぎなエントリを書いておりますが、引き続き作家志望のかたや業界についてのご質問受け付けております。お気軽にどうぞ♪ * 最近あったこと。 個展の会場で、毎日来ていると話したら、そのときお話していた編集者さんから「そのあいだお仕事は?」と声をかけられて一瞬びっくりしました。ひと呼吸おいて、ああ、絵を描くのが私の仕事だから、ということなんだなと分かったので、とっさに「そのあいだは仕事はお休みです」と応えました。 でもその答えは正確ではないなあ、となんとなく今も気持ちにひっかかっています。 そのときの私は「仕事中」だったからです。 土曜日まで、銀座のギャラリーにて展覧会を開催しており、私はずっと会場に詰めていました。 個展のテーマはアンデルセンの「小さいイーダちゃんの花」の原画/版画展で、新刊の紹介も兼ねていました。個展にはいろんな目的があるので、一言で言うのは難しいのですが、私の場合、何のために個展をしているのかと言われれば、いちばんは「絵を売るため」です。 ここで単純に、じゃあギャラリーに委託すれば絵は売れるんじゃないのかと思われるかもしれませんが、「絵を売る」というのは、単に絵とお金を交換するということではありません。(そういうケースも成立しますが。) 絵を買う人は、絵と一緒に、ご自身の過ごす時間も買っています。個展を見に行って、作家と話したり、他のコレクターやファンの方と話したりして、絵や世界のことをより深く理解したり、もっと好きになったりという「良い時間」を持つ(もしくは共有する)ことが、絵のコレクションの活動の一部としてカウントすべきものだと私は認めています。ですから、個展の会場で来てくださった人と話すことは、そこにサラリーや売り上げが発生するかしないかにかかわらず、作家としての私の仕事です。 だから、「これが仕事じゃなかったら、一体なんなんだろう?」と一瞬でも考えさせてもらえたことに、非常に新鮮なものを感じたのです。(もちろん、そういう意味でおっしゃった言葉ではないと思います。そう受け取った自分もヘンだとおもうけれど) 同時に私の場合は、大切な旧知の編集者たちとの年に数回のコンタクトの機会であったり、旧友との旧交を温める機会でもあったり、いろんな意味合いを持っていますので、その瞬間瞬間で、今自分が何の仕事をしているかは、変わっていくし、見に来てくださる方の楽しみ方もいろいろなので、それはそれでよいのです。が、そのさなかに「絵が欲しい」という人が現れた場合は、そのお客さまが最優先されるように優先順位を決めています。個展では、できるだけ「原画を所有してもらうこと」を通してコミュニケーションを図りたいという願いがあるからです。 「原画を所有する」のは「本を所有する」のと同じで、その絵を自分の好きなように扱える、ということです。(もちろん、著作権に抵触しない範囲内で、です)好きな時に見られるし、額から出して直に見ることも、もちろんできます。絵を触るとか、匂いをかぐとか(笑)もできます。そういう生のコミュニケーションをしてもらえたら良いな、と思うのです。なぜなら、それが私自身の絵との付き合い方だから。そうすることでまた別の世界が広がるよ、ということをみんなに知ってもらえたらいいなあ、と思っています。 2009年 11月 15日
今読んでいる本「日本辺境論」内田樹/著/新潮新書 に、ブログコンセプトにつながっている部分が出てきたので引用します。 「辺境人の『学び』は効率がいい」というチャプター内(なので本の中では仕事ではなく学習についての話の中です。新渡戸稲造の「武士道」にある、旧士族がなぜビジネスの分野で成功しなかったのかについての記述を解釈しながら、日本人の特徴を説明しようとしています。つまりこの特徴はビジネスには向かないけれど、学びには向いているという。) 引用ここから〜 (注、かぎ括弧内は新渡戸稲造著/『武士道』矢内原忠雄訳/岩波文庫より) 武士は久しく商業にかかわりませんでした。「商業ほど武士と遠く離れたるはなかった。商人は職業の階級中、士農工商と称して、最下位に置かれた。」新渡戸はこの商業蔑視と、それが導く当然の帰結である市場経済における武家の没落を当然のこととして受け容れます。 (中略) 「多くの高潔にして正直なる武士は新しくかつ不慣れなる商工業の領域において狡猾なる平民の競争者と競争するに際し、全然駆け引きを知らぬがため恢復し難き大失敗を招」いたのである。 それは士族たちが誓約や契約というものを軽んじたからだ、というのが新渡戸の解釈です。 (中略) 証文を記すことも、担保を置くことも、債務の履行を促すことさえ不名誉と考えるビジネスマンが資本主義社会で生き残れるはずはありません。 (中略) 努力と報酬の間の相関を根拠にして行動すること、それ自体が武士道に反する。(中略) 努力とその報酬の間の相関を予見しないこと。努力を始める前に、その報酬についての一覧的開示を要求しないこと。こういう努力をしたら、その引き換えに、どういう「いいこと」があるのですかと訊ねないこと。 これはこれまでの(注、内田樹の)著書でも繰り返し申し上げてきた通り、「学び」の基本です。 〜引用ここまで 引用部分を読んでいて、重なるのは普段の仕事において 1)報酬額のおよそを知らない (ことも未だに、ままある。単行本の場合は売れ行き次第なので、分からないのが当然でもありますが、最低保証部数を確認せずに仕事に取りかかることも多いです) 2)契約を出版直前までしない (これはちゃんと強く言えば検討/変更してもらえるらしい。) 3)せめて仕事はできるだけの努力と経費をみずから進んで払い、 4)最終的に提示された報酬額は見なかったふりをする(作品の出来をもって報酬ととらえる) という自分の悪しき慣習です。 愚です。(ビジネスという視点から見れば。) 士農工商などの階級は上の階層の人たちのことも自尊心や文化のような、無形のもので縛っているんだなあということがよくわかるお話だな、とも思います。 2009年 11月 15日
今個展を開催しているのですが、あとさき塾(プロをめざす絵本作家のワークショップ)に通っている方や講師の方とたまたま連続でお話する機会がありました。 講師の方(この道約20年?のフリーの編集者)はこのブログのことは知りませんでしたが、大まかに内容を説明すると「そういう話はあとさき塾でも話しをしているよ」とのことでした。曰く、プロを目指す人たちにとって、やはり経済的な部分は一番気になるところだし、デビュー後に良い作品を作るためにも、経済的>精神的に追いつめられないことが大事だと。 あとさき塾では今の現実的な状況の中で、どうやって経済的なところを乗り越えていったらいいかということなどを、長いキャリアのなかでいろんな作家を見て来た経験から話をしているようです。 また、「どんな仕組み(流れ)で仕事が進んでいくか」ということを事前に少しでも知っておきたいと、あとさき塾参加者の方は話していました。 2009年 11月 04日
先日、広告関係の知人にマーケットについての話をききました。 会話のなかで少し触れただけなので、詳しい話ではありませんが、少しでもアイデアの足しになればと思い投稿します。 私の問いは、大雑把に言うと「創作出版物の質を上げる為に何ができるか」ということだったのですが、それに対しての私が受け取った答えは *マーケットを創出すること。そのためには、ターゲットを具体的に想定すること。クリエーターが「ターゲットと企画をセットで」立ち上げる、という方法もある。(田中の感想/これは画廊で個展をする時に、作家が自分の顧客を相手に作品を作るのに似ている?/企画ごとに出版社のセールス方法的に対応できることが前提?) *作家と読者が環境に甘んじる傾向が強いのではないか。何でも出版社のせいにするのではなく、一人一人が動こうとする意志を持たないと。(曰く「絵本作家も読者もだらしがないヨ!」至って真面目に言われました。反省。) 上の「ターゲットと企画のセット」という手法について、何かご存知の方はいませんか? 「お客付きで製品を持ち込む」みたいな話はたまに見かけるんですけど、どういう仕組みなのかいまひとつ想像が及びません。具体例をご存知の方がいましたらお知恵を貸してください。 * 広告というのは「道をつくる」ような仕事なのだそうで、もっと上を目指したい(権威に近づきたいという意味ではなくて、もっと質の高いコンテンツを作り出せるしくみを作りたい/作家の才能あるなしという言い訳で切り捨てられない、多様な可能性を追求できるような)という希望を持つ自分にとっては興味深いお話だったのです。何かをするというとき、どうやって制約を取っ払って、結果を出すか。常にクライアントやユーザーからの厳しい意見を受けて仕事をしているという立場がまぶしく見えました。外の要求に応えるためだけでなくて、楽しく良い仕事をするためにも、自分にもっと厳しく出来る筈だなあ、と思います。 2009年 09月 12日
久々エントリを書く話題が出来ましたので、質問コーナーの間に挟ませていただきますm(_ _)m 先日、月刊誌の編集者と仕事の用事が終わった後に、何気なく世間話(編集者との世間話ってこの仕事ではかなり重要なのではありますが…ネタが生まれたり、ね)をしていたところ、意外なお話を伺ったので、これは是非みんなで共有しなくちゃと思いました。一応そのときに、ブログに書きたい旨もお話しました。 まず本題の前に、状況説明から。 毎年たくさんの日本人イラストレーターが入選している、「ボローニャ国際絵本原画展」ですが、最近はその成果として、日本人イラストレーターが海外から絵本を出すことが増えています。それだけヨーロッパでは絵本出版の内容的な懐が深い(多様なものが受け入れられる)という意味で、それはすばらしいと思います。 このところ、私は実際にボローニャに行ったり、他の場所で最近の入選者と会う機会が増え、仕事についての話もしているのです。よく聞いてみると、ヨーロッパで出版する人たちは、数カ国で同時発売などメジャーなデビューを果たす人と、本当に小さな出版社で、私家版的な部数での出版をする人とに分かれるんだな、ということが分かります。そして、小さな出版社で出す人の方がやはり、多いです。その方々は、何冊かヨーロッパで出すことは出来ても、「キャリアにつながりにくい」と感じているようです。 そして入選しても、「国内の出版社から反応がない」というのも、悩みのひとつです。 * ところで先日の会話では、編集者曰く、「ボローニャ展をみて、良いな、声をかけてみたいなと思う人はいる」というのですが、「実際に声をかけるところまでいかない」のだそうです。意外だったのはその理由です。 「ボローニャに出展している人たちは、海外志向なのであり、日本の月刊絵本(こどものともに代表されるような、幼稚園に配布されるタイプの、物語絵本など)には興味がないんじゃないかな、と引け目を感じてしまう」というのです。(「これはあくまでも個人的な感じ方ですが」と補足をしてくださいましたが、同じような人がいるのではないかと思い、あえてご紹介したいと思いました。) また、私は東京の板橋区立美術館での展示しか観ていないのですが、その展示をみて編集者の方は「少し権威的」だと感じ、「仕事したい、コミュニケートしたい、売り込みたい」というメッセージがあまり感じられないので、なんとなく遠慮してしまうのだとか。 さらには、ボローニャ展で発行されているカタログの巻末にイラストレーターのインデックスがついていて、連絡先が掲載されていることにまで発想が至らなかったそうです。(これは「権威的」という先入観のせいではないでしょうか。)そして板橋区立美で購入出来るそのカタログが、英語版である(実際には日本語版ですよ!)から、買っても読めないだろう、という思い込みもあったそうです。 * なぜ私が意外だと感じたかと言いますと、以前からボローニャの関係者のあいだでは、「なぜ、ボローニャ国際絵本原画展に入選しているイラストレーターに、日本の出版社からの連絡がほとんどないのか」ということが常に話題になっていて、推論は「日本の出版社は新人を使うリスクを負う体力がないからではないか」「編集者が忙しすぎるからではないか」というところに、大方落ち着いていたからです。しかしこの推論には、「編集者たちがボローニャ国際絵本原画展というものをよく理解しているにもかかわらず」、という文脈、つまり「かれらはボローニャ展のことをしっかり調べるのが当たり前である」という前提が働いています。 ですが、上の編集者の話をきいてみると、いかに「ボローニャをよく知る人」が、実は「十分にイベントの意義を知らしめることにまだ成功していない」か、またいかに「一人の編集者が先入観を覆さないまま展示をみて帰っていく」か(…ここではボローニャ展の入選者がこれからどんどん仕事をしたがっているという認識がすっぽりと抜けてしまっている。…美術館スタッフは売り込みという立場も理解していて、毎回入選者の活動に気を配っているし、回を重ねるごとに展示や映像作品、イベント等の工夫、努力もしているにもかかわらず)ということを思い知らされた、というところです。(もちろん展覧会の目的はイラストレーターを売り込むことだけではないかもしれませんが、それが大きな割合をもっていることはやはり事実です) また、ボローニャ展入選者の方はといえば、実際に海外志向の人もいることはいますけれど、私の感じたところでは、多くのイラストレーターが目指しているのは「国内で活躍できること」であり、あまり国内、海外と差別をしていないという印象があります。実際にボローニャ展は日本での展示の方が期間が長いし、応募する時には「日本でも浸透している公募展」という認識だと思います。 そして「国内の出版社への持ち込みは、敷居が高い」とも感じています。また彼らは「月刊誌に興味がない」のではなく、「月刊誌がどういう物か知らないし、どこに連絡してどんな仕事をするものなのかも知らない」ということなのです。 どうやら、お互いに「自分のことを相手が知りながら、相手から無視されている」と勘違いをしているような気がしてなりません。実際にはまだ言葉を尽くしていないだけなのに。 お互いに「勉強不足である」というのも、もちろん当たっています。しかし歩み寄りが必要であると思います。相手の立場を知る努力をしながら、自分を的確にアピールをすることが、必要なのではないでしょうか。 今回は、ボローニャ展出展者側に望む「あったらいいな」を編集者から聞きましたので、以下に書きます。 *イラストレーターがHPを持っているかどうかなど、「連絡が取れるかどうか」がすぐにわかると良い。 *名前をメモするだけでは、なかなか検索まで至らないので、まとめてHPのチェックができるリンク集があると良い。 *日本語でのプロフィールがどこにあるのかがもっと分かりやすくなると良い。 ということでした(3つ目は私が入れた案です)。 ふとした会話からこういうエントリが書けたので、私はちょっと嬉しいです。 編集者のIさん、どうもありがとうございました! 田中清代 2009年 09月 05日
はじめまして。 私は地方国立大学3年生で、現在、児童書出版業界に進みたいと考えています。 児童書の出版社に新卒で採用されるのは、非常に厳しいのが現状ですが、何とかして児童書に関われる仕事に就きたいと考えています。 しかし、今、自分は一体何をするべきなのか、どのような資格を取っておけばいいのかなど手探りな状態で、今後の就職活動について強い不安を感じています。 現在、実際に出版社の方に連絡をして、話を聞いてもらえないかと考えているのですが、お仕事をされている方に、私の個人的な理由で、時間を割いていただくことは失礼にあたるのではないか・・・などと考えてしまいます。 そこで、これから就職活動をするにあたって、やっておいたほうがいいことや、心得ておくべきことなど、何でも構いませんのでアドバイスをいただけたらと思い、投稿致しました。 どうぞよろしくお願い致します。 HN:ぐり 2009年 07月 31日
はじめまして。しゃもあと申します。 私は、印刷会社で働いている社会人4年目です。 単なる印刷だけでなく、出版コンテンツの流通にも関わる仕事をしております。 そこで絵本に興味がありまして、いくつか質問させてください。 【Q1】 出版不況がさけばれていますが、児童書市場は1998年を底に毎年1000億程度の規模で安定して推移しています。 作家、編集者、書店員などの方たちは、どのように感じているのでしょうか? 具体的には、「絵本はそれなりに売れているor思ったより売れていない」 「あくまで数字で、収入など実感として感じられない」 「大人が買うようになって市場は広がった」など、お願いします。 【Q2】 児童書、特に絵本のデジタル化についてどう思われますか? 現在でも、テレビでの放映やPCで一部、絵本が楽しめますが・・・是か?非か? 絵本というアイデンティティーは失われているかもしれませんが、 多くのユーザーに触れてもらえるというメリットはあると思います。 以上です。 すでにブログ内で重複部分ありましたら、申し訳ございません。 以上、よろしくお願い致します。 しゃもあ ** 以下、田中清代からの返答です: しゃもあさん、投稿ありがとうございます! 私の狭い見識からで恐縮ですが… Q1) 結構市場規模ありますね。出版社が100あるとすると各社10億の計算?(そう考えるとそうでもないか?) でも安定しているって、いいことですね。 まず、ここ1、2年は「売り上げが落ちて来ている」という話は毎度出るんですが、良く聞いてみると「定番商品の売り上げが」という話なのです。(個人的にはコンテンツ産業においてそれは良くあることなんじゃないか?と個人的には思っています) しかし、ここが児童書の特殊なところなのですが、「定番商品は売り上げが安定している」という状況が普通だったようで、ことさらに営業努力が必要になって来た、ということのようです。 私は出版不況の問題=読者側の文化の問題、もしくは両者のニーズのずれのような気がしています。 幼児の場合は、今はまだゲームとの競合が少ないし、おじいちゃん、おばあちゃんという強い味方もいますね。 あと10年したら、どうなるのか…というのは、ちょっと心配です。 作家の立場からの話では、たとえば仕事の依頼が減って来ている、という実感は私はないですし、身の回りでも「忙しい」と言っている作家が多いです。ホントにびっくりするくらい単行本が出ます。貰ったりする本だけで本棚一杯になりそうなくらいです。 一方、直販月刊誌以外の雑誌の方は無くなったり、ペースを落としたり、しているようです。 月刊誌は紙代などの影響で値上げをしていますね。 私自身の既刊の売り上げでいくと、今年は少ないです。ちょっと焦ります(笑) >「あくまで数字で、収入など実感として感じられない」 これはあります。沢山本を出すから、人数が必要になるのでしょうか。 出版された一冊あたりのリターンは少ないので、結果的にひとりあたりの収入は少なくなりがちです。 逆に、沢山作れる人にとっては、いい環境です。 また、売れる本に当然偏りがあるので、ごく少数の本が成功している、とも言えると思います。 >「大人が買うようになって市場は広がった」 希望的にYESと言いたいですが…。まだ大人対象の絵本の売れ具合は微妙な気が。 実際に絵本を買う大人の層は広がりつつあると思いますが、それを積極的に出版する会社は児童書の会社じゃないことが多いので、その売り上げは児童書業界には入ってないのでは。 書き手であり読者である自分としては、手軽なエンターテイメントとして定着してくれるといいなあ、と思っております。 Q2) 絵本のデジタル化> 大人のコレクターの立場でコメントしますと、 絵本は絶版になることが多いので、オンデマンドで手に入ったら、こんなに嬉しいことはないと思います。 絵本の宝庫サイトがあって(笑)コンテンツを購入でき、さらに1冊づつ注文できたらいいなあ〜。 ほるぷ出版なんかがやってる、コレクションタイプの復刻本みたいな、もう知る人ぞ知るでしょ、というような作品を、でも本当に復刻するとコストがものすごいから、セット売りになって高額になりますよね。そういうのを、好きなものだけ購入出来たら…。という夢はあります(笑) この案は復刻が得意な出版社さんと競合してしまうけれども。あと、20年前くらいの絵本とか。掘り出し物が沢山ありそう…。 お宅のつぶやきはさておき、 子供向けコンテンツということでは、デジタル化したものはすでに「絵本ではない」というのが私の意見です。 だから、一番危惧するのは、いつのまにか「こっちが絵本」とみんなが勘違いしてしまうこと。 たとえば、アニメ名作劇場で「赤毛のアン」を観て、読んだような気になっていた私のように。 そういう意味で、「絵本」という名前を盗られたくない、という心配はあります。 今は実際に出版された絵本が使われることがほとんどなので、まだ良いのですが、 それ用にコンテンツ制作が盛んになった場合に、たとえば、アニメーション使いますよね。音楽はいります。めくれません。本じゃないです。という物ばかりになると、「絵本とは何か」という点をみんなでしっかり考え続けないと、本当にアイデンティティは無くなってしまうと、思います。 考えるきっかけとしては面白いと思いますが。 とはいえ、私自身、とりあえず、「避けられない」のかな???と思ってますし、絵本づくりの感覚を活かして、デジタルコンテンツを作ることについては、とても興味があります。そこで、いくつか方法があると思うんです。 1)「絵本」の再現にこだわるデジタル化。これは「絵本専用の再生機をつくる」ということにつきます。 2)絵本作家がアニメーションをつくる、というのは海外ではよくあることです。「絵本作家が作る絵本的な」というのを売りにして、デジタルコンテンツを作る。作家も活躍の場が広がって、作品作りにも良い影響があるのでは。 3)絵本を出版する前の状態のものを、先にデジタルで出版する。(実は私はこれに反対。作家が弱ります。でも、新人発掘のためのプロジェクトならまあまあ。いきなり新人の作品を出版出来なくても、これなら読者アンケートなどである程度安心してデビューさせることができるかも。今のにべもない状況からすれば次善の策として。…ただ、報酬の割に制作が大変になるだろう点が、新人限定なところ。ホントは避けなければいけないと思うが、どうでしょう) それから、児童書のデジタル化を前にして思うのは、「もっとマシなディスプレイは作れないのか?」という疑問です。とにかく現状のディスプレイはどれも目にやさしくありません。正直なところ、幼児にこの(MacBook Proの)ディスプレイを見せたいとは、あまり思えません。 以上、長文失礼致しました。 皆さんのコメントも、よろしくお願いします! 2009年 06月 23日
HNもこさんより。 *** こんにちは。 絵本の仕事について悩みがあり、投稿させていただきました。 私は、小さいころから、絵本に携わる仕事に憧れ、大学は普通科でしたが、何とか地方の小さな出版社に入社しました。 さぁしっかり勉強するぞと思い、春から働いていますが、出版社と言っても、フリーペーパーの営業職で、すべて仕事は営業です。 家に帰るのも遅く、日曜日のみしか休みがないため、ワークショップなどにでかけることもままならず、かといって絵本・児童書関連の人脈ができるけでもありません。 ただ、営業の力と広告企画力、文章力はつくと思います。 このまま働き続けて、私はいつか絵本の仕事につけるようになるのかなぁと不安になってしまいました。それより、自分の時間をしっかり持てるところで仕事をし、スキルや人脈を広げていったほうがいいのでは?と思うようになりました。 もし田中さんがこういった状況であれば、どういうふうに考えますか? ** (以下、田中) 一概に出版社といっても、いろんな分野があります。 最近では、絵本に進出する出版社が少しづつ出て来ているようです。 まずはもこさんのスタンスをはっきりさせましょう。 一社員として、少しでも絵本に関わることができれば良いのか、 それとも編集者やプロデューサーとしてのキャリアを築きたいのか。 それによって今後の選択肢が違ってくるのではないでしょうか。 少しでも関わることができれば良いのであれば、まずは絵本を出版している出版社を選ぶことが第一なのでは。そういう処に転職するつもりなら、何が転職に有利なのか、考えてみてください。一般の会社とどういう違いがあるのか、私には詳しくはわからないのですが…。 ただ、(すでに2〜3年働いたのではなく)春に入社したばかりならば、まずは今の仕事をしっかりやることだとおもいます。 専門職としてのキャリアを作りたいのなら、今の仕事を続けながら、情報を集めて勉強するのがいちばんだと思います。 (日曜日に開かれている講座もあるし、東京、名古屋、大阪などの講座に集まって来る人たちは近所の人ばかりではありません。飛行機で来る人も結構いてびっくりします。 ) そしてある程度時間をかけて目的意識を熟成させておき、いざという時(入社したい出版社で募集が有ったとき)に備えます。こちらも基本は転職でしょう。 人脈のことですが、考えてみれば、私の個人的な経験上、いちばん人との出会いがあったのが、講座などの習い事でした。それは実は絵本のキャリアに直接つながる内容には限りませんでした。 色んなところ(例えば、自分の出身校の生涯学習講座やワークショップなど)で出会った人たちのうち、話の合った人がたまたま同じ業界に入って来て、改めて連絡を取る、ということもめずらしくありません。 それから、高校や大学の同級生とのつながりも、立派な人脈(と あまりいいたくはないですが)です。人脈とは先にその場所に居るひとと知り合うだけではなく、今身の周りにいる人との関係を大事にするなかで、そこから偶然に発展したりするものですし、その分野の人とだけ知り合えばいいというものでもないと思います。 人脈をつくるなら若いうちが良いというようなことを私が書いたので、焦ってしまわれたのかもしれませんが、若いうちといっても20代〜30代前半ならば遅くありません。私が言いたかったのは、同世代の、おなじように「これから」世に出ようとしているひとたちの出会いは、すでに立場を確立した人同士が出会うのとは違う良さがあり、宝物のようなものだ、と、自分の経験から書いたのです。その方法以外には人脈が作れないという意味ではありません。 将来的に社員として出版の仕事をしたいのなら、フリーで修行した後目当ての出版社に入るという例は無いと思った方が賢明だと思います。ですから、今折角出版社にお勤めなのですから、そのキャリアをまず大事にしてください。また、フリーの編集者を目指す場合も、現在活躍しているフリーの編集者は一定期間社員として経験を積んだ人がほとんどです。 転職の時に編集スキルの実技試験があるわけではないのですから、(多分!)まずは体当たりで転職にチャレンジし、絵本を作っている会社に入る。まずは入りやすいところから当たってみて、そこからまた次の目標の出版社に転職する、などが正攻法かなと思います。 私の知ってる限りでは、こんなところでしょうか。 2009年 06月 20日
HN ノエオさんより、以前からのご質問の続きです。(田中) **投稿ここから** 以前、出版社に勤めるためには何が必要なのかと皆さんに質問した大学生の者です。 その節は大変お世話になりました。 また、田中さんにご相談があり、連絡差し上げました。 僕は今年大学三年生になり、就職に対して真剣に考え行動に移していかないといけない時期に差し掛かってきています。 もちろん今でも絵本の出版業界に進みたいという気持ちに変化はありません。 大学生のうちに、何かしらの形で出版・絵本に関わりたいのですが、地方に住んでいるとそのような機会はなかなかありません。 今、自分が夢に一歩でも近づくために出来ることは何だろうと考えた場合、書店でのアルバイトが唯一残された選択肢だと感じました。 しかし、一概に本屋と言っても、大型チェーンや個人経営のものなど様々です。 その中でも出版業界との繋がりを作りやすい書店、そうでないものはあるのでしょうか? また、あった場合、どういったところでそれを判断するのでしょうか? 大きな(たくさん種類のある)本屋=良い本屋、なのであれば規模の大きな書店で働くのがいいと思うのですが、一概にそう定義してしまってもいいのでしょうか・・・? お返事お待ちしております。 HN ノエオ(今回からHNをつけさせて頂きました。) **以下田中のコメント** >一概に本屋と言っても、大型チェーンや個人経営のものなど様々です。 その中でも出版業界との繋がりを作りやすい書店、そうでないものはあるのでしょうか? そうですね。多分、具体的にどんなことを学びたいのかによって、違いが有るのではないかと思いますが、 「出版業界(書店も業界の一部なので、「出版社」に置き換えますね)との繋がりを作りたい」と思うのであれば、頻繁に出版社の営業が通って来る、地域でもキーとなるお店が良いと思うんです。私は小さな出版社との付き合いが多かったので、話をきいていると、(人手が少ない分、絞らなければ回りきれないので)この町ではここ、この町ではここ、というようなポイントとなる書店があるようです。それはまあ中規模以上の書店なのですが、必ずしも大きなチェーンであるとか、大規模店に限らないんだな、と思いました。 それで、チェック方法なのですが、書店の書棚をみて、子どもの本の出版社でも小規模なところの本を多く置いているところは営業がきているか、もしくは書店の担当者が熱心かのどちらかです。 営業がきていなくても、担当者が熱心であれば、つながっていたりします。 書店の中の、書棚の位置にも注目してください。もしも、子どもの本の売り場が書店の入り口付近にあり、かつかなりの点数を置いていれば、確実に「ポイント」書店です。そういう書店は珍しいのですが、それはつまり、地域に小さい子どもを持った若い夫婦が沢山住んでいるか、そういう家族が良く来るショッピングセンターの中にあって、普通の書店よりも児童書の動きが良いというしるしです。大都市のベッドタウンで新しい高層マンションの多い街に時々見られます。 定期的にイベントなどでサイン会や原画展をしている書店を選ぶという方法もあります。 私も10年ほど前に、そういうお店で原画展をやって、経営者と友達になったことがあります。 その人はリアル書店はたたんでしまわれたけれど、その後も絵本に関わる仕事をしているので、今でもつながりがあります。若い時の出会いは財産です。 もしくは端的に、子どもの本の専門店を手伝うこと。ここでポイントなのは、子どもの本の専門店は人を雇うのが困難なので、「給料はいらないので、手伝わせてください」くらいの気合で行くことかな(笑)専門店は全国でも希少なので、出版社の方でも大事に営業などをしているところがあるなと感じます。 しかし私個人的な意見では、お店の雰囲気が好きな書店を任意で選べばいいのではないかと思います。 そして、店長さんが本の注文や書棚作りをさせてくれるのかどうかを確認してみます。 (実はアルバイトでは、ここのハードルが高いので、もしそういうお店があればという仮定をして、以下は書店員の一般的な仕事の流れを書きます) もしそれが可能ならば、好きな出版社に定期的に注文を入れるのです。 出版社の方では、「ここは担当者が変わって、売ってくれるようになったな」と思えばあいさつに行ったり、売り場の様子を見に行ったりします。 書店員の方は出版社の営業さんと仲良くなったら、その出版社のフェアをやったりして、とにかく数字を出します。 そういうふうに協力関係が築かれていくのが、楽しい部分ではないかなと思います。 がんばってください。 (田中清代) 2009年 06月 03日
セブンアンドワイHLDGSの四季報に、幻冬舎の見城徹さんと、7&YHLDGS会長の鈴木敏文さんの対談が掲載されていました。いつものように引用させて頂きます〜。 ** 鈴木>出版界がいまのように厳しい状況になった原因の一つには、過去の経験で本や雑誌をつくり続けてきたことがあると思います。かつて婦人雑誌は、毎年1月は何、2月は何と、各号のテーマが歳時記のように決まっていました。それを繰り返してきた結果、だんだん読者の生活感覚から離れてしまったのだと思います。そういう過去の経験を崩していかなければ、読者は去ってしまいます。 見城>時代はどんどん変化し、読者の求めているものも変わっていきます。編集者はその時々の読者の求めているところを知り、「いま読者はこういうテーマを求めている」といった助言や刺激を、つねに書き手に与えていかなければならないと考えています。 ** 以上、もっと長いのですがあとはこちら(5メガ) 2009年Vol.103 幻冬舎は以前は何となく好きだったのですが、少し前に出た新書 「ネットカフェ難民―ドキュメント「最底辺生活」」 (幻冬舎新書) 川崎 昌平/著 を読んで、内容の軽さにちょっと買うモチベーションが下がり(これが1冊目だったので、そのあと買ってない…)おかげで斜にみている状態なのですが、この記事を読んで見城さんの自伝(??)は読んでおこうかなと思いました。 毎度引用する内容は一緒ですねw (田中清代) |
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![]() 児童書出版にこれから関わる人、関わり始めた人が持つ疑問、問題などに答え、建設的コミュニケーションを目指す真面目な絵本の仕事質問箱。 前半は田中清代の若手時代の経済的な問題について暑く語っております。 by ehon_no_shigoto カテゴリ
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